皆さん、国際バカロレアって聞いたことありますか?
国際バカロレア(International Baccalaureate、略称IB)は、1968年に設立された、スイスのジュネーブに本部を置く国際的な教育組織です。
日本では、2023年3月に、国際バカロレア認定校等数が目標の200校に達しました。
もともとは、世界中転勤する転勤族子供たちが、世界中どこでも同じ教育を受けられるように、国際的に認められる共通の大学入試資格を作ろう、ということで作られたといわれています。
今では(2023年1月現在)、世界159以上の国や地域で、約5,600校の学校で提供されています。
ほとんどが英語での授業なので帰国子女からの注目度も高く、また、バカロレアの制度を使って日本の大学を受験することもできるので、興味がある方も多いのではないでしょうか。
今回は、国際バカロレア認定校って本当に帰国子女にとっておすすめなの?難易度はどれくらい?という、いろんな疑問に答えていこうと思います。
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国際バカロレアって何?
国際バカロレア(International Baccalaureate、略称IB)は、1968年に設立された、スイスのジュネーブに本部を置く国際的な教育組織です。
1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置されました。文部科学省IB教育推進コンソーシアム公式サイトより
ざっくりいうとInternational(国際的な) Baccalaureate(学士号)という意味です。
1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置されました。
文部科学省IB教育推進コンソーシアム公式サイトより
IB教育などとも言われ、世界中の学校で採用されている、国際的な教育プログラムです。
世界中転勤する転勤族子供たちが、世界中どこでも同じ教育を受けられるように、国際的に認められる共通の大学入試資格を作ろう、ということで作られたといわれています。
- 小学生向けのプログラムであるPYP(Primary Years Programme)
- 中学生向けのプログラムであるMYP(Middle Years Programme)
- 高校生向けのプログラムであるDP(Diploma Programme)
この中でも、高校生向けのプログラムであるDP(デュプロマ)が一番注目されています。
なぜかと言うと、デュプロマ資格を持っていると世界各地の大学の入学資格になるからです。
ディプロマ(diploma)とは、高等教育機関より発行される卒業証明書や業績証明書という意味です。
International(国際的な) Baccalaureate(学士号)diploma(証明書)Program(計画表)
すなわち、国際バカロレアDP資格(フルディプロマ)=国際的に認められる大学入学資格ということです。
DP資格(フルディプロマ)のスコアによっては、ハーバード大学やオックスフォード大学など、世界中の難関大学の入学資格が得られます。
日本でも、例えば、東京大学や東京外国語大学、お茶の水女子大学や国際基督教大学、国際教養大学、慶応義塾大学など、国際バカロレア資格のスコアを利用して入学できる学校も少しずつですが増えてきています。
国際バカロレア・IBプログラムについて
グローバル化に対応できるスキルを身に付けた人材を育成するため、生徒の年齢に応じて、さまざまなプログラムを提供しています。
PYP (Primary Years Programme) | 3-12歳 | 精神と身体の両方を発達させることを重視したプログラム |
MYP (Middle Years Programme) | 11-16歳 | 青少年に、これまでの学習と社会のつながりを学ばせるプログラム 5年間のプログラムなので、大体中1~高1までが目安 |
DP (Diploma Programme) | 16-19歳 | 所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得可能 原則として、英語、フランス語又はスペイン語で実施 2年間のプログラムなので、大体高2~高3までが目安 |
IBCP (Career-related Programme) | 16-19歳 | 生涯のキャリア形成に役立つスキルの習得を重視したキャリア教育・職業教育に関連したプログラム。 一部科目は、英語、フランス語又はスペイン語で実施。 |
これらを簡単に言うと、
- PYP(3歳~12歳):精神と身体の両方を発達させることを重視したコンセプト
- MYP(11歳~16歳):これまでの学習と社会のつながりを学ばせることを重視したコンセプト
- DP(16~19歳):国際的に認められる大学入学資格を取得するのがゴール
となっていて、単に「英語ができる」から良いというわけではありません。
ざっくりいうと、PYP、MYPは、DPを取得するための準備期間といった位置付けです。
Primary Years Programme、Middle Years Programmeと、この二つが主に「その年齢」に合ったプログラムを展開しているのに対し、
DPは、diploma(証明書)を取得するためのプログラム、という名前の通り、国際的に認められる大学入学資格を取得するためのプログラムということです。
とはいえ、PYPもMYPも、簡単なわけではありません。
ディプロマのスコアとは
国際バカロレアDPでよく聞く「フルディプロマ」とは、6科目の教科と3科目のコアを全て履修し、最終試験に合格することで取得できる資格のことです。
DPのカリキュラムは、以下の6つのグループ(教科)及び「コア」と呼ばれる3つの必修要件から構成されています。
生徒は、6つのグループからそれぞれ選択し、6科目を2年間で学習します。
ただし、「芸術」(グループ6)は他のグループからの科目に代えることも可能となっています。
6科目の教科グループ
グループ1 | グループ2 |
言語と文学(母国語) | 言語習得(外国語) |
科目名: 「言語A:文学」 「言語A:言語と文学」 「文学と演劇」SLのみ(※) | 科目名: 「言語B」 「初級言語」SLのみ |
グループ3 | グループ4 |
個人と社会 | 理科 |
科目名: 地理、歴史、経済、ビジネスと経営、情報テクノロジーとグローバル社会、哲学、心理学、社会・文化人類学、世界の宗教(SLのみ)、グローバル政治 | 科目名: 生物、化学、物理、コンピュータ科学、デザインテクノロジー、スポーツ・エクササイズ・健康科学、環境システムと社会(※) |
グループ5 | グループ6 |
数学 | 芸術 |
科目名: 「数学:解析とアプローチ」 「数学:応用と解釈」 | 科目名: 音楽、美術、ダンス、フィルム、演劇 |
また、大学やその後の職業において必要となる専門分野の知識やスキルを、大学入学前の段階で準備しておく観点から、6科目のうち、
- 3~4科目を上級レベル:HL(Higher Level)各240時間
- その他2~3科目を標準レベル:SL(Standerd Level)各150時間
で学習します。
大学入学の準備なので、学習内容も結構ハードです。
6科目すべてを、標準レベルで受けようかな、ということができません。
上級レベル3科目+標準レベル3科目、もしくは、上級レベル4科目+標準レベル2科目、の組み合わせで学習を進めていきます。
6つのグループの各科目の中から、どの科目を受けるのか、どの科目を上級レベル・標準レベルにするかは、志望大学の募集要項などと照らし合わせて組み合わせることになります。
さらに、カリキュラムの中核となる核(「コア」)として、以下の3つの必修要件を並行して履修します。
3つのコア(必修条件)
(EE:Extended Essay) | 課題論文(TOK:Theory of Knowledge) | 知の理論(CAS:Creativity/Activity/Service) | 創造性・活動・奉仕
生徒が関心のある研究分野について個人研究に取り組み、研究成果を4,000語(日本語の場合は8,000字)の論文にまとめる。 | 「知識の本質」について考え、「知識に関する主張」を分析し、知識の構築に関する問いを探求する。 批判的思考を培い、生徒が自分なりのものの見方や、他人との違いを自覚できるよう促す。 | 創造的思考を伴う芸術などの活動、身体的活動、無報酬での自発的な交流活動といった体験的な学習に取り組む。 |
国際バカロレア資格の取得には、DPカリキュラムを全て履修し、45点満点中、原則として24点以上を取得する必要があります。
配点は、6科目につき各7点(計42点)
さらに、必修要件「コア」について、知の理論(TOK)と課題論文(EE)の評価結果の組み合わせに応じて最大3点が与えられます。
6つの教科(42点)+コア(3点)=45点満点中、24点以上でフルディプロマを取得することができるということです。
国際バカロレア試験は、南半球と北半球の学校年度に対応できるよう、年2回、世界で一斉に実施されます。
日本の1条校の場合は、原則として3年次の11月に実施され、翌年の1月5日に最終スコアが通知されます。
国際バカロレア・フルディプロマの難易度
結論から言うと、国際バカロレアの難易度はかなり高いです。
世界で認められている資格ということは、それだけハードルも高い。
ハードルが高いだけではなく、試験範囲がとても広いので、高いハードルがたくさんある長距離走みたいなものです。
日本の学校では、日本語DPを実施しているところもありますが、そうじゃない場合、すべてが英語での授業になります。
DPの授業・試験は、原則として、英語、フランス語又はスペイン語で行う必要がありますが、文部科学省と国際バカロレア機構が協力して、DPの一部の科目を日本語でも実施可能とするプログラムの開発を進めています。
さらに、 課題論文(EE)、知の理論(TOK)、創造性・活動・奉仕(CAS)といった、今までの活動や課題なども加味されるので、コツコツと積み上げていかなければなりません。
合格率は、世界的に見てだいたい8割ほど。
バカロレアを受講している生徒は世界中にいますが、寝る間を惜しんで勉強しても、進級できずにドロップアウトしてしまう生徒もいるくらいです。
英語圏の生徒がドロップアウトしてしまうくらいなので、母国語が英語ではない日本人は、たとえ帰国子女といえども簡単な道ではありません。
ただ、学校によっては、全員合格しているところなども多数あるので、ぜひ入学の時の参考にしてみてください。
バカロレア認定校に行くメリット
なかなかハードなバカロレア資格ですが、それでも近年どんどん認定校が増えています。
それだけ、国際化が進んで、「世界で活躍できる人材」が求められているということでしょう。
それに伴い、小さいうちからの英語教育も年々活発になってきています。
そんな中で、この国際バカロレア認定校に通うメリットをいくつか紹介します。
海外の大学へ進学がしやすい
国際バカロレアDP資格(フルディプロマ)=国際的に認められる大学入学資格ということなので、世界中の大学への入学が可能になります。
世界的に知名度の高い、ケンブリッジ大学やハーバード大学、オックスフォード大学なども、IBを利用した入学を認めています。
ただ、これらの超有名難関校に入学するためには、DPスコアを45点満点中40点前後は取らなければいけないので、めちゃくちゃハードです!
また、海外の大学では、国際バカロレアの上級レベルで受講した科目を、入学後の単位に変換できるといったケースも見られます。
日本国内の大学入試に利用できる
日本国内の大学でも、近年国際バカロレアDPを利用して受験することができるようになってきました。
スコアも、東京大学で37くらいが予想されています。
→大学リスト(coming soon)
年齢に応じたプログラム
大学受験やディプロマの話が多くなってしまいましたが、国際バカロレアには、PYP(3歳~12歳)、MYP(11歳い~16歳)といった、年齢に応じたプログラムも用意されています。
国内では、小中高一貫ですべての国際バカロレアの認定校になっている学校がまだ少ないので、すべて連続での教育が難しいということになります。
いきなりDPから始めるよりも、PYP、MYPと、段階を踏んで学んでいる方が楽なことは確かです。
すべてのプログラムを一貫校で行うとなると、インターナショナルスクールに通うのがいいのかもしれません。
ただ、インターナショナルスクールの場合、一条校ではない学校が大半なので、将来のことを考えて、慎重に決めなければいけません。
世界共通のプログラム
国際バカロレアのプログラムは、世界共通です。
なので、海外で長く暮らしている帰国子女にとっては、スライド転勤や帰国などで学校が変わったとしても、同じプログラムを受けることができます。
家を決める時に不動産会社に、近くにバカロレア認定校があるかどうかを問い合わせてみてもいいかもしれませんね。
語学力を維持できる
これは当然、授業の大半、もしくはすべてが英語なので、帰国後も英語力を維持、向上することができます。
その分、日本語が不自由になってしまうといったデメリットも考えられるので、学校選び将来のことも考えて、慎重に決める必要があります。
バカロレア認定校に行くデメリット
当然、メリットばかりではなく、デメリットも理解してから判断するのが大切です。
文部科学省が定める一条校ではない学校がある
国際バカロレア認定校は、日本で200校を達成しましたが、そのうち約半分が、文科省が定める一条校ではなく、「各種学校」という認可です。
認可校についても「各種学校」扱いであるため、日本人児童が通っても就学義務の履行とは見なされません。
つまり、小学校や中学校に相当する課程に在籍をしていても、インターナショナル・スクールだけでは義務教育を終えたことにはならないということです。
例えば、インターナショナルスクールの小学校過程を卒業した場合、一条校の中学校に入学するこが認められないケースがほとんどです。
詳しくは、インターナショナルスクールを検討する前に、知っておきたい【一条校とは】 にも書かれているので、お時間のある時にぜひ読んでみてください。
学費が高い
これは、国際バカロレア認定校の約半数が、インターナショナルスクールが占めていることが要因の一つです。
大体、インターナショナルスクールの学費は、年間約200万円くらいといわれています。
子供一人なら何とか二馬力で頑張っていけるかもしれないけど、2人3人…となると、ウチの財力では無理。
さらに約半分の一条校のうち、ほとんどが私立校なので、公立に比べたらかなりお金はかかります。
また、国際バカロレア認定校でも人気の高い学校は、偏差値が高いところも多く、入学するために塾や家庭教師をつける必要がある場合も。
海外の大学を受験すること以外考えていない!という場合は、ひたすら英語での学習を進めていけばいいのですが、日本国内の大学も視野に入れている場合、日本の学力を上げるための対策は必ず必要です。
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募集人数若干名でも、実は結構大量受け入れしている学校があるんです。
約3年分の募集人数・合格者人数・偏差値など、かなり細かく調べました。
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一般的な大学受験との両立が難しい
国際バカロレアDPは、2年間でかなりのボリュームを学ぶ必要があります。
それも、ただ講義を聴くだけではなく、自分で調べ、討論し、納得し、レポートにまとめる、といった自主的な学びが大半です。
それに加えて、奉仕活動や創造性を高める学びなど、一般的な高校生の授業とは違う内容で、かつ範囲が広いのが特徴です。
もし、アメリカに住んでいて、そのままアメリカの大学に進みたいという場合、TOEFL・IELTS対策や、アメリカで主流の共通テストであるSAT・ACT対策が必要です。
また、日本の大学に進む場合も、日本の共通テスト対策が必要になってきます。
絶対IBDPを利用して、海外の〇〇大学に進む!
と、ピンポイントで決めていて、将来もその気持ちは揺るがない!という場合以外は、やはり両立が必要です。
ただ、国際バカロレアDP資格は広範囲で難しいので、共通テスト対策しかしていない同級生と比較すると、不利な部分も。
両立させるためには、時間の管理が重要になってきます。
家庭教師などの効率の良いマンツーマン指導を利用するのもおすすめです。
国際バカロレア認定校一覧
国際バカロレアの認定校一覧表です。
PYP、DPの各詳しい情報は、別の記事でも解説しています。
国際バカロレア認定校一覧
国際バカロレアとは?概要とメリットデメリット:まとめ
国際バカロレアの勉強は、簡単ではありません。
でも、簡単ではないからこそ得られることは大きいです。
帰国子女は、海外進出のハードルが、日本国内の学生よりも低い傾向にあり、一度海外を経験しているから見えることもたくさんあるはずです。
なので、大変そうだから、と辞めてしまうより、興味があるならチャレンジしてみるのも、この先の国際化社会を生き抜くためにも、いいのではないかと思います。
ただ、学校選びは慎重に。
日本の学校の卒業資格を得られるのか、どれだけサポート体制があるのか、しっかり調べたうえで学校を決めましょう。
また、人気の高いバカロレア認定校は偏差値も高いところが多いです。
中学受験・高校受験をする必要が出てくるので、日本の受験準備も、海外にいるうちからしっかり考えておきましょう。
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