アジア駐在だと、「英語圏じゃないから帰国子女受験では不利なのでは」そんなふうに感じてしまうことがあります。
中国駐在の頃は、英語圏じゃないことを理由にどこか不安を抱えたまま過ごしていました。
ただ、その後アメリカ駐在も経験してみて、英語圏だから安心というわけでもないことや、受験で大事にされるポイントは別のところにあることに気づきました。
ネットで見かける帰国子女受験の情報は、英語圏やハイレベル校の話が中心になりがちです。
そのせいで、「うちは当てはまらないかも」と感じてしまう家庭も多いのではないでしょうか。
でも実際には、アジア駐在だからといって受験で不利になるわけではありません。
必要なのは、英語圏と同じやり方を目指すことではなく、今の環境に合ったアプローチを選ぶこと。
この記事では、アジア駐在家庭の帰国子女受験でよくある勘違いを整理しながら、英語圏じゃなくても悩みすぎなくていい理由を実体験を交えてまとめました。
勘違い① 非英語圏での経験は受験でメリットがないと思っていた


アジア駐在での海外生活は、「英語圏じゃないから帰国子女としては弱いのでは」と感じてしまいがちです。
私自身も当時は、英語圏ではない海外経験は受験ではあまり評価されないのではと思っていました。
英語圏からの帰国子女の話を聞くと、英語力の強さが目立ち「やっぱり英語圏は有利だよね」と感じてしまうこともあります。
正直に言えば、英語を武器にしやすいという点では、英語圏の帰国子女が有利に見える場面もあります。
ただ、あとから振り返って思うのは、それは有利不利の問題ではなく、持っている武器の種類が違うだけだったということです。
英語圏では英語が生活の中心になる一方で、非英語圏では英語がすべてを左右するわけではありません。
その分、アジア圏では、日本語や教科の学習、考える力に時間をかけやすい環境でもあります。
| 英語圏・現地校 | 非英語圏・日本人学校 |
|---|---|
| ・英語ができないと学校生活が大変 ・英語についていくことが最優先 ・英語力が評価の軸になりやすい ・英語が武器になる受験になりやすい | ・英語は日本の子と同じ「できたらプラス」 ・英語以外の学習時間を確保しやすい ・学力や考える力が土台になりやすい ・総合力で評価される受験になりやすい |
つまり、英語圏は英語を軸にした受験になりやすく、非英語圏は総合的な力を積み上げやすいという違いがあるだけです。
どちらが楽とか、どちらが有利という話ではありません。
大変さの種類が違うだけなのだと、今は感じています。
英語圏ではない海外経験も、日本とは違う環境で生活したという点で、十分に意味のある経験です。
大切なのは、英語圏じゃないから意味がないと決めつけることではなく、その経験をどう捉え、どう整理するかだと思います。
非英語圏の海外経験を、受験で活かすために意識したいこと
英語圏ではない海外経験は、そのままだと受験での強みとして見えにくいことがあります。
でもそれは、価値がないからではなく、どう整理して伝えればいいのかが分かりにくいだけだと感じています。
非英語圏からの帰国生の場合、英語力そのものよりも、日本語で考え、経験を言葉にできるかどうかが大切になります。
また、英語が生活の中心になりすぎない分、日本語や教科の学習に時間をかけやすい環境でもあります。
この積み重ねって、あとからじわじわ効いてくる、結構大事な部分なんですよね。
ただ、こうした経験や強みは、家庭だけで整理しようとすると迷ってしまいがち。
英語圏じゃないから不利なのではなく、どう活かすかを整理できているかどうかがポイントなのだと思います。


勘違い②日本人学校は受験では強みにならないと思っていた


アジア圏の駐在家庭では、子どもが日本人学校に通っているケースがほとんどです。
数年で帰国することが前提であれば、日本語で学べて、日本の学年につながる日本人学校は、とても合理的な選択だと思います。
それでも受験を意識し始めると、
「日本人学校って、海外経験としては弱いのでは?」
「日本にいた子と、あまり差がないのでは?」
そんな不安を感じる家庭は少なくありません。
でも、あとから気づいたのは、問題は日本人学校そのものではなく、その経験をどう捉えていたか という点でした。
日本人学校に行くメリット
- 日本の学年・カリキュラムにそのままつながる
帰国後の編入や進級がスムーズで、学年や学習内容のズレが起きにくい。 - 日本語で考える力を保ちやすい
教科を日本語で学び続けられるため、思考力や表現力が落ちにくい。 - 教科の基礎学力を安定させやすい
算数・数学や国語など、日本の受験で必要な基礎を積み上げやすい。 - 帰国後の進路を見据えた生活がしやすい
中学受験・高校受験・編入など、日本の進路を前提に考えやすい。 - 海外生活と日本の教育を両立しやすい
学校は日本式、生活は海外という環境で、無理なく両方を経験できる。
こうした経験は、日本国内だけでは得られないものです。
大切なのは、その環境で何を感じ、どう考えてきたのかをきちんと整理できているかどうか。
「日本人学校だから強みにならない」そう思い込んでしまうのは、少しもったいない考え方なのかもしれません。
日本人学校での経験を、受験で活かすために意識したいこと
日本人学校に通っていた帰国生は、英語力よりもまず、日本の教科内容をどこまで身につけているかを見られる立場になります。
国語や算数・数学の土台が弱いままだと、海外経験があっても評価につながりにくいことも。
一方で、日本人学校に通ってきたからこそ、日本語で授業を理解し、日本の学習内容を積み上げてきたという強みもあります。
問題になるのは、その状態が受験で求められるレベルに届いているかどうかです。
ここで多くの家庭が悩むのが、家庭学習だけでどこまで補えばいいのかという点じゃないでしょうか。
日本の受験勉強に切り替えるタイミングや、塾や外部サポートを使うべきかどうかは、海外にいると判断が難しくなりがちです。
できれば気になっている今!早いうちに、海外で利用できるスクールの無料相談や、今の学力を図ることができる、テスト機能のある通信教育を利用するのがおすすめです。




勘違い③アジア駐在だと英語圏帰国より厳しい受験になると思っていた


アジア圏に駐在していると、英語圏帰国の話と比べたときに、うちは不利なのではと感じてしまうことがあります。
英語が武器にならないなら帰国子女として有利なルートは使えないのでは?と思っていませんか?
特に日本人学校に通っている場合は、帰国後は日本の子どもたちと同じ一般受験しかないように感じてしまいがちです。
私自身も当時は、英語圏帰国と比べたらうちは厳しい受験になると思い込んでいました。
でも実際には、不利か有利かは国で決まるというより、受験で何を武器にするかで決まる部分が大きいと感じています。
英語圏帰国は英語を武器にしやすいことが多いのは事実です。
一方で中学受験や高校受験では、英語だけで押し切れる場面はそれほど多くなく、日本の教科の土台が普通に問われます。
日本の受験勉強を軸にして学力を積み上げることが一番の土台になります。
アジア圏の駐在は、「日本の受験勉強を軸にして学力を積み上げること」ができることこそが最大の強みなんです!
そのうえで英語は英検2級前後を目標にして評価材料として持っておくほうが安全。


これは、中学受験・高校受験だけではなく、大学受験でも考え方は似ています。
一般受験は今でも王道で学力が整っていれば結果につながりやすいルート。
帰国子女枠や総合型選抜がある場合でも、英語だけで決まるわけではなく、学力や日本語での表現力が問われることがあります。
英語圏帰国より不利だから厳しいと決めつけるよりも、今の環境で積み上げやすい力に集中するほうが現実的です。
アジア駐在家庭が意識しておきたい受験の進め方
アジア圏で日本人学校に通っている場合、日本の子どもたちと同じレベルの受験勉強を無理なく続けやすい環境にあります。
英語圏で身につく英語は、試験や資格のための英語というより、生活するために必要な英語です。
その力自体は大きな強みですが、日本の受験で評価される英語とは求められる形が少し違うこともあるんですよね。
英語圏帰国であっても、受験で使える形にするために一定の対策や勉強は必須です。
その点、英語に追われすぎることなく、国語や算数や数学といった日本の受験に必要な教科に時間を使える点はアジア圏駐在の大きな強みです。
さらに、日本人が多い地域では、日系の受験塾があるところも。
我が家も中国駐在の時には日系の塾に通っていました。


また、近くに通える塾がない場合でも、オンライン家庭教師を利用すれば、日本の受験勉強を継続することは十分可能です。
日本の子どもたちと同じ内容の勉強ができる環境がある一方で、生活の拠点はあくまで海外。
時差や学習環境の違いなど、日本にいる場合とは条件が異なる部分もあります。
だからこそ、受験が本格化してからではなく、できるだけ早い段階で一度相談しておくほうが安心です。


勘違い④日本の受験準備は、帰国してからでいいと思っていた


海外にいる間は、受験のことは帰国してから考えればいいと思ってしまいがちです。
日々の生活に慣れることだけで精一杯になり、受験はまだ先の話に感じてしまうこともあります。
特に日本人学校に通っていると、日本の学校と同じペースで戻れる気がして、受験準備も帰国後で間に合うように思えてしまいます。
でも現実には、日本で受験準備を進めている子どもたちは、その間も当たり前に学力を積み上げています。
帰国してから初めて受験を意識すると、環境の変化への適応と受験準備を同時に進めることになり、想像以上に負担が大きくなるケースも少なくありません。
「帰国してから考えればいい」という判断は、何もしない選択をしているのと同じ状態になってしまうこともあります。います。
帰国前に、最低限考えておくだけでラクになること
本格的な受験準備は、早く始められるなら早いに越したことはありません。
特に日本の受験は積み上げ型なので、準備期間が短いほど負担は大きくなります。
まずは受験勉強を始めるかどうかを決めるのではなく、今の学力がどの位置にあるのかを確認しましょう。
全国模試は年に数回しかありませんが、受けられるタイミングがあれば、今の立ち位置を知るにはとても分かりやすい指標になります。


また今すぐできることの一つとして、家庭学習で使える教材を活用して、教科ごとの理解に抜けがないかをチェックするのもおすすめです。
例えば、海外で使える通信教育の中でも一番おすすめしたい無学年制教材【すらら】




もしここで、「思っていたより差がある」「このままでは間に合わなさそう」と感じたら、早めに受験準備を本格化させる判断も必要になります。
たとえ日本人学校に通っていたとしても、学習の抜けというのは多かれ少なかれ必ずあるものなので、早いうちから「視覚化」して、それをつぶしておくのが安心です。
また、海外からでも利用できるオンライン家庭教師の無料相談を上手に活用することもおすすめ!
実はこっそりオンラインで受験準備をしている、といった家庭は少なくありません。
海外まで資料を送ってくれたり(
【オンラインのメガスタ】


- 大丈夫そうかどうかを決める前に、まずは現状を知る。
- 口外していないだけで、周りの人は準備をしている。
- 準備は早ければ早いほど、後が楽!
そう思って、早めに準備を進めることが、一番確実な方法だと思います。
勘違い⑤周りが動いていないように見えて、受験準備を後回しにしていた


勘違い④で「受験準備は帰国してからでいい」と思ってしまった理由の一つに、周りの家庭がまだ何もしていないように見えたこともありました。
日本人学校に通っていると、受験準備の話題はあまり表に出てきません。
そもそも受験の話はとてもセンシティブなので、家庭の中でどこまで進めているかをわざわざ周囲に話す人は多くありません。
最近はオンラインスクールや家庭学習の選択肢も増えていて、実は水面下で準備を始めている家庭も少なくないと感じます。
それでも、周りから見えないと「みんなまだ動いていないのかも」「だったらうちも今は大丈夫かな」と、安心してしまいやすいのだと思います。
「表に見えているだけの」様子を基準にしてしまうと、本当は考え始めておいたほうがよかったタイミングを、知らないうちに過ぎてしまうこともあります。
周りが動いていないように見えるから大丈夫。
そう思って気を抜いてしまうこと自体が、あとから一番焦りやすくなる原因だったのかもしれません。
まとめ:アジア駐在でも、受験は「戦い方次第」!
アジア駐在だからといって、英語圏駐在より受験で不利になるわけではありません。
ただし、英語圏と同じやり方をしようとすると、うまくいかなくなることはあります。
英語圏の帰国子女は、英語を軸にした受験になりやすい一方で、アジア駐在家庭は、日本の受験勉強を土台にしやすい環境にあります。
英語に追われすぎず、国語や算数や数学を積み上げられることは、実は大きな強みです。
大切なのは、英語圏と比べて落ち込むことでも、同じ戦い方を目指すことでもありません。
今の環境で伸ばしやすい力に目を向けて、戦い方を少し変えること。
それだけで、受験の見え方はかなり変わります。
だからこそ、「英語圏じゃないから不利かも」と悩むより、「今の立ち位置で、どう進めるのが現実的か」を考えるほうが、ずっと前向きです。
必要なのは、場所を変えることではなく、アプローチを変えること。
アジア駐在だからこそできる受験の形も、確かにあると感じています。




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